急傾斜地(土砂災害)のポイント

 土砂災害警戒区域の中でも「急傾斜地の崩壊」についてポイントをまとめてみます。
 土砂災害警戒区域には、急傾斜地、土石流、地すべりの3種類があり、三者三様の捉え方があるのですが、今回は急傾斜地を取り上げてみます。

<急傾斜地とは>
 急傾斜地の定義は法律で定められており、以下のようになっています。
傾斜度が30°以上で高さが5m以上の土地の区域

 図で示すと以下のようになります。

(引用「土砂災害警戒区域等指定のための基礎調査マニュアル」)

 山地や丘陵地の近くにお住まいであれば、家の周りのどこかが、ほぼ間違いなく「急傾斜地の土砂災害警戒区域」に指定されているはずです。災害の種類としては浅層崩壊を対象としており、これは土砂災害の中で多数を占めています。
  
<どこで確認できるのか>
 土砂災害のハザードマップとして、各自治体のホームページや「重ねるハザードマップ」などで確認することができます。各自治体から発表されているものが、発信元の情報になるので一番確実と思われます。
 可能なら公示図書まで見れたらよいのですが、そこまでできる方はなかなかいないのではないでしょうか。

<実際はどうなのか?>
 そもそも土砂災害警戒区域は、住民の避難行動に役立てることを目的として、全国一斉に調査して区域を設定しています。全国を網羅しているという点で、これは非常に意義深いです。

 ただ、急傾斜地の土砂災害警戒区域は、上記のように地形条件しか考慮されておらず、現地の地下情報(地盤が固いのか軟いのか)は、残念ながら考慮されていません
 斜面を構成する地盤が固ければ崩れにくいですが、地盤が軟ければ崩れやすくなります。軟い地盤の斜面でも傾斜が20°であれば、その斜面は区域設定から漏れることになります。

 このように、 急傾斜地の土砂災害警戒区域は、 崩れる危険性が低いのに区域設定されていたり、逆に崩れる危険性が高いのに区域設定されていないものが多くあるものと思われます。
 全国を一律に網羅しているという反面、きめ細やかさが失われているように思います。

<当社でできること>
 当社では土層強度検査棒簡易動的コーン貫入試験を行って、現地の地下情報を取得して斜面の安定性を評価することができます斜面の安定性が低い場合は、その後の対応対策をご提案することもできます

 特に、浅層崩壊は事前の対策を行っておくことで、その危険性をかなり低減することができます。例えば、迅速な避難が困難な世帯ではこうした対策をしておくことで、豪雨時の自宅の安全性を確保しておくことができます。