土層強度検査棒を用いて行うベーンコーンせん断試験についてです。
下図は試験器の概要です。
先端が羽根(ベーン)付きの突起(コーン)となっており、ロッドを介してこれを地中に突き刺します。
試験器を押し込みながら回転させることで、先端のベーンコーンにかかる W:押し込み力と T:回転トルクを計測します。計測結果をプロットすると下図のようになり、土の強度である c:粘着力とΦ:内部摩擦角の値を得ることができます。
従来の地質調査では土の強度を求めるために、サンプリングや室内土質試験をしなければならず、大きな手間と費用がかかっていました。しかし、土検棒を使ったベーンコーンせん断試験で、土の強度のデータを早く安く取得することができるようになりました。
では、何のために土の強度が必要なのかというと、それは安定計算のためです。土の強度を測ることで、その地盤が崩れるかどうかを判定することができます。至極当然のことのように思えますが、従来の地質調査では出来なかったことでもあります。
ベーンコーンせん断試験と安定計算が活かせる事例として、土砂災害警戒区域(急傾斜地)の危険度評価や、宅造法における“がけ条例”の解除などが考えられますが、使いようによって様々な場面での活用が期待されます。