熱海市伊豆山地区の土石流

 静岡県の熱海市伊豆山地区で土石流が発生して被害が出ています(2021/7/3発生)。
 下掲写真は土石流の発生部です。毎日新聞より静岡県提供のものです。

 被災された方々へお見舞い申し上げますとともに、少しでも早く日常生活に戻られるよう祈っております。地盤技術者としては、こういった事例から教訓を汲み取らねばと思います。

 今回の災害は日中に発生したことが、不幸中の幸いであったと言えます。降雨のタイミングによっては夜間に土石流が発生していてもおかしくなく、そうなれば逃げ遅れる人がもっと多くなったでしょう。
 またスマホやドローンのおかげで、現地の状況を目にすることがたやすくなっています。マスコミの報道もあって、現地の生々しい映像に災害の激しさを見せつけられます。ニュースでは、災害の特殊性が語られもしますが、今回の伊豆山地区で起きたような土石流は、これまで日本中で発生してきたものと大差はありません。これまでの土石流も流域の住宅を飲み込んでいきました。

 特筆すべき点として、盛土の崩壊が土石流を引き起こしたことが挙げられます自治体などの発表では、盛土の崩壊が土石流の原因になったかどうか明言は避けられていますが、上記の発生地点の写真を見るに、盛土の崩壊が土石流の原因であることはほぼ間違いないと思われます。
 盛土が崩壊したとして、盛土の管理責任はその所有者が負います。盛土の崩壊が下流の被害を引き起こしたとしたら、その所有者が管理責任を問われることになると思います。
 このような盛土は日本中に無数にあると思われます。大規模盛土造成地マップで一定規模以上の盛土は抽出されていますが、今回の盛土はそれからは漏れています。規模に関わらず下方に被害を出す恐れのある盛土に対して、調査・対策していくことが望まれます。