避難は最後の手段

 
 上記は佐賀市が作成したもので、避難行動について考えておきましょう、というものです。また、近年の豪雨災害は7~8月に起きることが多いので、6月頃から特にNHKなどで防災について取り上げられることが多くなっています(2021年時点)。これらの中で強調されるのが”速やかな避難”です。

 テレビやネットでは、防災というと、いかにスムーズに避難するか、避難先で困り事がないようにできないかということに注力していて、そもそもどうしたら災害を少なくできるかという視点が欠落しているように見えます。”防災”の意味を文字どおりに解釈するなら、”災害を防ぐ”ではないでしょうか。

 洪水や内水が起きるなら、国や地方自治体の治水対策に不備があるということですし、土砂災害ならば土検棒調査とPDR工法(排水補強パイプの打設)で危険性をかなり低くすることができます。

 ”速やかな避難”ができない要因として正常性バイアスなども言われますが、実際、避難するということは家や土地等の財産の一部を放棄することにも等しく、その決断を下すことはかなり難しいはずです。当然、避難は最後の手段として選択肢に持っておくべきものですが、軽々しく避難と言われると違和感を覚えます。
 そもそも”避難”という最後の手段を使わないようにするために、自らが被災する危険性を下げておく取り組みがあってもいいのではないでしょうか?